寿老人
資産運用の考え方等がわかるよ
300万円の定期預金が満期になったペンネーム「さくらん」さんは、現在
FXと「
投資信託」に興味があり、年3%で運用できるものがあったら始めたい、とのこと。
寿老人はここのところのサブプライムを契機とした金融市場の大混乱、そして景気後退局面の最中、この様な質問が来るとは意外であった、というのが正直なところである。
「貯蓄から投資へ」のマインドが国民の中にまだまだ残っている証拠として心強く思う。
恐らく「さくらん」さんはチャンスと見ておられるようだ。
ただ3%で運用したいと言いながら
FXに興味があると言われる。この辺が寿老人からみると違和感を覚えるところ。
FXはきわめて
投機的な(偏見?!)商品(要するに二桁の利回りを狙う
投機家用の商品)と区分できるので、3%の運用利回りを期待している場合
FXは運用対象とする必要がないと思われる。
何故
FXを運用対象外としたのか。
サブプライム問題を契機とした金融市場の大混乱=金融恐慌の中で起きている
レバレッジ(=数十倍の借金をすることによる、テコの原理を利用した運用や低利な企業の資金調達)の解消の意味するところは、恐らく一時的なものではなさそうだからだ。
ここ一年で進行していることは、
米国に代表されるような市場原理主義的な資本主義が否定されつつあり、政府の関与を良しとする考え方が世界で主流派を形成しつつある。つまり
レバレッジを利かすような運用が幅を利かす時代は残念ながら過去のものとなったといえる。投資家にとって新たな世界が展開しようとしている。
投機家による流動性の供給といった類の
投機の礼賛論も基盤を失いつつある。(ただ誤解のないように言っておきたいことは、
投機家が全くいない市場を想像できないことも事実である。)
毘沙門天じゃ。FXも使い方次第では必ずしも投機的な運用にはならないが、しかしながら投資の初心者と思われる「さくらん」さんが運用対象と考えるにはリスクが高すぎるであろうな。まずは、投資の基本的な知識の習得から始められた方が良い。この資産の宝船のバックナンバーを丹念に読むだけでも十分習得できる。生兵法は怪我のもと、じゃよ。
米国のようなROE(株主資本利益率)至上主義の経営は、今後困難になりそうだ。要するにこれまでのように企業は割安な資金調達を簡単には出来なくなる。政府からの支援を除いては、企業の実質調達金利は今後上昇していくだろう。
サブプライム・バブルの崩壊によって、
規制緩和ではなく規制強化へ、減税ではなく増税へと時代の大きな流れは変化し始めている。投機家受難の時代が始まっている。
リスクをとろうという意欲は減退し、高い
リターンは望むべくもない時代と変化しつつある。恐らく今後ロー
リスク・ロー
リターン、あるいはミドル
リスク・ミドル
リターンの世界が待ち受けていると見ている。
これは何も
ヘッジファンドのことを念頭においているのではない。米国に見られるこの規制強化、
レバレッジの低下や法人税引き上げの流れ、そして企業家精神の後退が行く先は、
寿老人が見るにEU型あるいは日本型資本主義の見直しとなりそうだ。つまり「大きな政府」が主流になる、ということ。
この様な時代の流れは投資家にとってどのよう世界となるのか。
投機家受難の時代が、投資家受難の時代となるとは限らないと寿老人は考えている。何故なら、通常投資家は
レバレッジを効かせるような手法を採らないからだ。
今回雪崩のような
レバレッジの解消がすべての資産価格を押し下げ、
投機家のみならず
国際分散投資を実践していた投資家も多大な損害をこうむった。しかし寿老人は
投資家が冷静さを失わず、投資を再開すれば今後徐々に分散投資が効果を発揮すると見ている。すべての資産の価格が押し下げられる恐怖の時代から、選別される時代に移行するからである。
現在は、米国及び世界各国のリフレ政策が資産価格を下支えしており、今後も1929年の世界恐慌以来といわれる財政支出や国際的な協調政策が実行されることから景気や株価の底抜けという展開は考えにくいが、株価が日経平均で1万8千円やNYダウが14,000ポイントを回復というストーリーも考えにくい。
ところで以上のような時代認識が正しいとすると、
「さくらん」さんがいう3%という利回りは、リスク・リターンの観点から妥当かという議論になる。「さくらん」さんの3%の期待
リターンに対して、どれくらいの元本割れなら我慢できるか、という設問に対しては10%以内とお答えになっていることから寿老人は経験的には
リスクと
リターンの関係から見て十分バランスの取れたものと判断する。が、今後はそう甘くないかもしれないというのが寿老人が感じているところだ。
例えば
最も安全な商品であると言われている日本国債、そのなかで長期国債10年ものの利回りは現在1.4%前後であり、変動金利型個人向け国債10年物は約0.7%の利回りとなっており、3%の期待利回りを議論する場合、その辺の金利を基準に考えることが大切である。
まだまだ内外株式市場は不安定であり、とりわけ先進国の株式市場は先に述べたように継続的な上昇相場は期待できず、成長の果実を得るのは困難である。
このような予断を許さない状況下で決してやってはいけないことで、投資家が犯しやすいことは以下のことである。「さくらん」さんのような投資家が金融機関に赴き相談する、
「定期預金が300万円満期となり、よって3%以上で回る「投資信託」を紹介してください」、と。
どこが間違っているのか。もしかすると、3%という期待利回りが実は高すぎるのかもしれないし、現状の
リスク・
リターンの関係は元本割れ10%以内に収まらないのかもしれない。この辺のことに考えを及ぼすことなく、3%で運用したいという希望を伝えた場合、
金融機関の担当者は「さくらん」さんに「こんなに利回りの高い商品があり、選り取り見取りです。今がチャンスです。」とニコニコとして言う筈だ。
現在実は所謂毎月分配型の「
投資信託」は数多あり、基準価格がここ一年で大きく下落し、所謂配当利回りは殆んど二桁となっている。もし基準価格が今後下落しないのであれば、あるいは上昇すると予想できるのであれば素晴らしい投資商品ということになる。
しかし選り取り見取りではなさそうだ。
分かりやすいような例として、
株式の配当利回りがあるが、確かに有名企業の配当利回りは現在2%以上3%程度のものがゴロゴロしている。しかし株価は企業業績次第で上下し、安定配当といっても業績が変動すれば配当も上下すると考えるほうが普通だろう。企業業績は今後悪化すると見るのが自然だ。とすれば配当が減少すると見るのがまた自然。
そう、配当利回りは確定利回りではないのだ。
基準となる利回り、あるいは金利は、株式の配当利回りや毎月分配型の「
投資信託」の配当利回りではなく、最も安全である国債利回り、日本の長期国債10年物や変動金利型個人向け国債10年物の1.4%や0.7%なのである。
3%という「さくらん」さんの期待利回りは、この基準となる利回りから見ると決して低い、あるいは「そこそこ」なものかどうかは簡単にはいえない。ある程度の
リスクをとることでのみ達成できる利回りということが言える。恐らく現在はいまだ世界的な
レバレッジの解消過程にあり、
リスクと
リターンの関係がかつてのように安定的ではなくなった結果といえそうだ。
今後
レバレッジの解消が終了し、
徐々に再びレバレッジが積みあがっていく過程に入れば3%の期待利回りと10%の元本毀損リスクは安定的な関係と判断できるようになろう。
寿老人がここで伝えたかったことは、
レバレッジを利用していない個人の投資家が、あまりにもここ数十年で積みあがった
レバレッジ経営や運用の解消の津波に飲み込まれ、手痛い痛手をこうむったこの一年の経験を消化しきれないとしても、
リターンと
リスクの関係を考え直す良い機会が与えられたと考えて頂きたいという事だ。
毘沙門天じゃ。寿老人が言っているように、現在は金融市場が依然混乱しており、過去のリスクとリターンのパターンを踏まえて投資できない状況じゃ。こういう状況下では投資の初心者が投資に踏み切るのは、海図なしで荒海に漕ぎだすようなものじゃよ。「さくらん」さん、金融市場が落ち着くまで、ゆっくり投資の基本知識の習得に励まれた方がわしは良いと思うぞ。
こんにちは、福禄寿です。天邪鬼なので他の神様と少し違ったことを述べたいと思います。オマハの賢人と呼ばれているバフェット氏は最近「皆が貪欲な時には慎重に、皆が怖気づいている時は欲張りになれ」と語ったそうですが、この時期に長期投資を考えることは有意義かもしれません。しかし、これらは当然10パーセント以上の元本割れ覚悟が必要になります。勉強のつもりでしたら、少しの金額を投資して、残りを銀行預金しておくことも良いと思います。なお、投機的要素の強いFXは初心者の方にはお勧めしません。
初心者が投資を始める際に一番気をつけて欲しいのは、
運用利回りあるいは期待利回りについてはなぜか明確で、数値として把握しにくいリスクに関して注意を払わず、要するにリターンとリスクの関係に関してあまり注意を払わないことだ。「さくらん」さんが実際、今後金融機関に運用の相談に行かれる際には、元本毀損
リスク10%以内ということを3%の期待利回りと同程度に明確にお話になることが一番大事である。もし簡単に毎月分配型の「
投資信託」を勧めてくるようだったら注意したほうがいいというのが寿老人からのアドバイスだ。
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そうです。鬼より怖い、甘い誘い。儲け話は悪魔の誘い。
心を鬼にして、断ることが大切なのよ。鬼の格言より。